乳がん治療の今と昔 / 医療ほっとライン
精度の高い検査で 早期発見・早期治療
華岡青州は、江戸時代の外科医。1804年通仙散を用いての全身麻酔を行い、現在の五條市に住んでいた60歳女性の乳癌摘出に成功しました。これは世界最初に行われた全身麻酔の手術といわれています。有言佐和子の小説「華岡青州の妻」によって、このことは、広く知られるようになりましたが、しかし、この手術を受けた藍屋利兵衛の母、勘の予後は、あまり伝えられていません。その後、勘は再発を来して、残念ながら亡くなられています。
最初の全身麻酔は、偉業でありましたが、彼の手術は、腫瘍そのものだけを取り出す核出術であったと言われます。果たして、この手術は癌に対して根治性のあるものだったのでしょうか。また、それは現在の乳房温存術式と変わらないものだったでしょうか。
18世紀のヨーロッパで行われていた乳癌手術を描いた石版画を見たことがあります。もちろん手術に際し、麻酔を用いていません。止血のために、焼けた鉄串を乳房下に何本も差し込み、何人もの助手が患者さんの両手両足、全身を押さえつけ、乳房そのものをえぐり出す惨憺たる光景でした。阿鼻叫喚の地獄絵さながらです。しかし、根治性から考えますと、当時の西洋の術式が、華岡青洲の術式より優れていると言わざるを得ません。なぜなら、大きな腫癌が確実に触れるのなら、進行した乳癌と考えられますので、核出だけでは、必ず癌の取り残しが、起こります。
では、現在の乳房温存術式でも、取り残しが起こるのかと言いますと、江戸期と現代では大きな違いがあります。それは、当時あり得なかった早期発見が、現在では可能なのです。つまり、今は、しこりが触れない早い時期にも乳癌が発見できます。
消化器病の早期発見には、内視鏡、消化管透視が有用です。では、乳癌ではどうでしょう。乳管内視鏡は、あるにはあるのですが、乳管が、木の根っこのように、多岐に分かれていますから、(下図参照)1本1本、隅々までのぞくことは、困難極まります。しかし、高性能のマンモグラフイ(乳房エックス線撮影)は、胃透視、注腸透視と同じように役立ちます。バリウム等の造影剤を乳管に入れるわけではありません。乳管内を進展して、発達する乳癌は、乳管内に微少な石灰化の痕跡を残します。高性能のマンモグラフィでは、0.1ミリ程度の微少な石灰化までも描出することが、充分に可能なのです。
幸いなことに、当院は、今年度より、精度の高いマンモグラフィ(SEPIO Stage)を導入しました。乳房圧迫が容易で解析度の高い当院の新鋭のマンモグラフィは、乳癌検診、乳癌の早期発見に役立つものと考えます。

おかたに病院 外科 内藤 梓
気持ちに寄り添い成長していきたい
(ソーシャルワーカーのファイル)
この4月からソーシャルワーカーとしておかたに病院に就職しました。
初めての面談でのこと。他院から当院の回復期リハビリテーション病棟への転院相談で、患者様のご家族Aさんが来院されました。先輩ワーカーに付いてもらいながらも、私は手に持った紙が震えてしまうくらい緊張していました。緊張というのは共鳴しあうもので、Aさんの緊張をも増幅させてしまい、なかなか会話が弾みません。
その時です。先輩ワーカーが一呼吸置いて、これまでご自宅ではどのように生活されていましたか?とたずねました。
Aさんは自宅での患者様との生活の様子や、入院となったときの不安など、話し始められました。生活歴や、その時々の気持ちを話していただくうちに、今後どうしていきたいか、だんだんと整理がついていかれるようでした。落ち着いた雰囲気と話す人の気持ちに寄り添うことが大切だと実感しました。
不慣れなことは多いですが、その人の気持ちに寄り添う姿勢を心がけて、成長していきたいと思います。
おかたに病院 地域医療課 村田 憲春



